私が若手として海外勤務3年をした中で,日本で働き続けていたら得られなかった海外での経験を本記事でご紹介します.
海外勤務をすると平均して4年間は日本を離れることになります.生まれ育った日本を離れて,わざわざ海外で仕事をして学べることが気になりませんか?
本記事では次の疑問にお答えするように書きました.
はてな
- 海外勤務で転職市場の価値は上がりますか?
- 若手で海外駐在をするとどのような成長がありますか?
- 20代で海外赴任を言い渡されましたが行くべきでしょうか?
将来,海外で仕事をする可能性がある若手社員の方に向けて本記事を書きました.
こんな方におすすめ
- 海外赴任の実態について興味がある方
- 海外駐在の辞令をうけた20代,30代の方
- 将来,海外駐在員を目指している就活生,若手社員
私は日系の企業に入社して,将来海外赴任を希望し続けていたところ,希望通り海外法人へ派遣されました.本記事を書いている時点で私は東南AsiaのMalaysiaで仕事を3年間しています.
私は新しい環境で変化を楽しむのが好きな性格でした.育った日本とは違う環境である海外に飛び込むことで,変わるきっかけになると期待していました.
海外勤務をした結果,私の仕事における成長率は著しく高くなりました.直属の上司からも「こにゃんさんは,日本の10年分の経験を海外でしたよ」と言ってもらいました.
本記事の内容は次になります
本記事のポイント
- 海外法人は小さいがゆえに構造が見える
- 忙しい海外駐在を通して仕事の効率が上がる
- 若手で海外赴任をするとマネジメント能力が身に付く
これから海外勤務に興味がある20代・30代の方が読んで,「私も海外勤務で頑張ってみたい」と思っていただけると本記事を書いた冥利に尽きます.
海外駐在により転職市場の価値が上がる
海外駐在をすることで,あなたの労働市場価値は確実に上がります.少なくとも駐在後に転職したときに,転職をしない人よりは高い年収を期待できます.
なぜなら,海外駐在員になることで英語で仕事をするという経験を得られるだけでなく,部下の仕事をみながら成果を出す管理職のキャリアを歩むことができます.
私はビジネス専門のSNSに登録をして海外勤務になった後のキャリアも記載していますが,頻繁に転職エージェントからご連絡をいただいています.
ポイント
日本で仕事をすると管理職になれるのは30代後半以降ですが,海外駐在員になると10年前倒しで管理職の経験を積むことができます.労働市場における価値は海外駐在によって確実に上がります.
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海外勤務で成長したこと7つ
「海外勤務をして成長したか」と聞かれれば,胸を張って成長したといえます.
日本で働いているときはマンネリと職場の息苦しさを感じていて,海外転勤指令が出たときは嬉しかったです.
海外で心機一転仕事をすることになり,仕事を一から覚えながらも刺激的な海外勤務体験を3年間送ることができました.
私が海外勤務で成長した点は次の7つです.
海外勤務で成長したこと
- ストレス耐性
- 人間関係の構築
- 事業利益構造の理解
- 英語で仕事をする語学力
- チームで仕事の質を高める管理能力
- 限られた時間で成果を出すための生産性
- 誰が抜けても仕事を完成させるための管理能力
逆に,「海外勤務にして後悔したことはあるか?」と尋ねられれば,私の答えは「日本に戻って,以前と同じ仕事をしたくなくなってしまった」ことです.
それくらい海外駐在員として得た能力・経験は貴重なものでした.
次の章以降で,具体的に私が駐在員を通して学んだことを解説します.
チームで仕事の質を高める管理能力
日本で勤務しているとき多くの担当者の一人に過ぎなかった私が,海外勤務になった途端にリーダーとなり部下を持ちながら成果を出す役割となりました.
時には20名の同僚に指示を出しながら,チームとして成果物を完成させていくリーダー業務を務めました.
人に任せることも仕事
業務能力が高い人ほど考えがちなことは「自分でやればで早いし,間違いも少ない」ということです.
私も赴任して間もなくの頃は同僚に仕事をふれずに,何でもかんでも自分で仕事をおこおうとしましたが限界がありました.
しかし海外駐在員の仕事量は日本で勤務していた頃の3倍以上に増えていたこともあり,また自分が詳しくない分野の仕事が振り込んでこともあるので,自分の仕事処理能力では一人で対応し切れなくなりました.
少しずつ同僚に仕事を任せながら,自分は業務進捗の管理を行うようになりました.
部下の業務進捗管理
「作業を自分でする立場」から「人に作業をしてもらう立場」になったことで,納期を考えながら部下の業務進捗管理の仕方を工夫していきました.
任せることも仕事の一つ.
ただ仕事を部下に振るだけでなく,業務進捗を逐次確認して求める方向に部下が進んでいるかみていきます.
後工程に渡す前に「品質」確認
進捗管理だけではなく,成果物の確認にも苦労しました.
同僚が私に提出してきた仕事の成果物をそのまま納品すると,間違いがあって納品先に迷惑がかかるかもしれないので私が一度内容を確認します.
確認すると言っても,全てを隅から隅まで確認すると結局自分で一から作るのと同じだけの時間がかかってしまうので,私なりに工夫したことは次です.
- 過去の結果と比べる
- 数字の桁は概算で自分で計算する
- 結果について仮説をあらかじめ立てておく
「仮説思考」で結果を予想して答え合わせ
自分で正確に検証をすることはできなくても,大まかな仮説を立てておいて,部下の提出した結果が仮説とあっているかどうかを見ます.
もし仮説と違ったら,どこが違うのか論理展開を追って,論理が相反しているところを検証して,部下と自分とどちらが正しいか考えます.
もちろん自分が間違っている可能性も受け入れなくてはなりません.
仮説は自分が過去の知識と経験をもとに組み立てていきます.
もし自分が過去に扱ったことのない業務で知識・経験がない場合は,過去に他の人が出した結果を参照しながら,今回の部下の結果が同じような論理展開をなぞっているか確認します.
過去の結果が全て正しいわけではありませんが,考え方の筋道を2通り持つためには過去の結果も参照すべきだと思います.
ポイント
「人に仕事を任せてチームで結果を出す」リーダー業務を経験したことで,同僚の進捗管理や仕事の成果物の確認などの具体的な能力を得ることができました.
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誰が抜けても仕事を完成させる管理能力
海外の職場では人の入れ替わりが多いです.
私の職場では文字通り,3年間で50%の同僚が入れ替わります.
海外では企業への忠誠心は日本よりも少なく,雇用条件がよければすぐに他社へ転職をしてしまいます.
仕事を標準化する
人の入れ替わりが流動的な海外で勤務をしていると避けなければならないのは「仕事の属人化」です.
「この仕事はあの人しかできない」「あの人の仕事の手順はブラック・ボックス」という状態は避けなければなりません.
誰がいつ居なくなっても引き継げる体制
業務の標準化については意識して,引き継ぎ資料は共有サーバーで管理して,いつ誰が辞めて新人が入っても業務を引き継げるような体制にしています.
私自身も幅広い業務を浅く理解するようにして,仮に誰かが急に休んだとしても代わりに補助できるように備えています.
リーダーの立場では「いかに組織を動かしていくか」
担当者として仕事をしているとその道の専門家になりたいと意気込みます.
一方でリーダーの立場になり業務をすることで,誰でもできるように仕事を標準化することに意識が向き,チームとして安定的に結果を出し続ける仕組み作りに挑戦できました.
ポイント
仕事の標準化をすることで副産物として,無駄な工程の削除および仕事の効率化を生み出します.
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限られた時間で成果を出すための生産性
海外駐在員になると,忙しいのに仕事がどんどん依頼されてきて,消化不良になりながら仕事を抱えることになります,
海外勤務は優雅な貴族生活を送れると思いきや,仕事が忙しすぎて文字通り朝から晩まで働き通し.
平日はシャワーを浴びて寝るだけということが多かったです.
仕事がただでさえ多いのに出張者の付き添いがあると,自分の仕事が進まないばかりか夜遅くまでお酒に付き合わなくてはならず心身ともに応えます.
限られた時間で成果を出さざるを得ない
どんなに仕事量は多くても,一日の時間は限られているので,どれだけ効率を上げて仕事を完成していくかに意識が向かうようになりました.
日本で働いているときは業務量が多くなかったので,一つの仕事の質を上げることにこだわり,時間当たりの生産性を考えていませんでした.
海外勤務になり,限られた時間の中で結果が求められるようになってからは,手を抜いてもよい箇所を見極めながら最低限の質を出す方法を考えました.
ときには仲間と力を合わせて結果を出す方法に頭を使うようになりました.
枝葉末節にとらわれない
「70%の質でも構わないから,締め切りにまずは間に合わせる.」
海外赴任でこのような意識が高まりました.
「そんな雑な仕事の仕方はけしからん」と日本の同僚にはお叱りを受けそうですが,案外要点をきちんと掴んでおけば,枝葉末節が間違っていても問題にはなりません.
ポイント
「仕事の本質をどのように見抜くか?」は大問題ですが,私は海外駐在員の間に多数の業務をこなす中で「仕事の核」を捉える能力を培っていきました.
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事業利益構造の理解
海外法人にいる日本人の数は限られます.
重要な役職を全て日本人が担っているわけではなく,現地の人が起用されて現地法人の重要な経営判断を行っています.
海外駐在員が会社の「顔」になる
現地社員に経営権を任せるような組織にはなっていますが,日本人駐在者の役割は大きく,日本の本社,日系顧客からは頼りにされることが多いです.
例えば「営業のこにゃんさん」ではなく,「Malaysia法人のこにゃんさん」という見られ方をします.
「いえいえ私は営業畑一筋で,経営企画なんて知りませんよ!」という言い訳は通用しません.業務役割の曖昧なところは日系企業の特徴です.
部門横断的にみるようになり全体像が掴める
仕事の中でも横断的に活躍を求められるために,自分の部門はもちろん,他の部門の人の仕事に首を突っ込みながら横断的な仕事をすることになります.
総務,人事,IT部門の方は縁の下の力持ちで大企業ほど隠れてしまいがちな存在ですが,海外法人では身近に連絡をしてこれらの部署の方が働く環境を整えていくという構造をみることができました.
他の部門の仕事に首を突っ込み始めると,部門と部門が歯車のように噛み合って,事業全体が動いている描写が見えてくるようになります.
市場の要求を聞いて,商品企画を作り,商品開発と販売計画をして,商品の生産準備をする.
売上高を最大化するには,販売価格を上げて,販売数量を増やさなくてはなりませんが,お客様が納得して買ってくれる商品作りはどうしたら良いのか様々な部門と考えていきます.
一方で,利益を増やすには,固定費,変動費を削減しなくてはなりません.
商品の付加価値を高めながら,同時に投入する材料費を抑えるかという天秤に頭を悩ませる経験もできました.
ポイント
二律背反の中で部門どうしが調整する動的な部分を担うことができたことは私の大きな経験となりました.
人間関係の構築
海外勤務をして良かったと思うことは,「海外法人にいなかったら人生で出会うことがなかった人たちと身近に働くことができた」ことです.
海外現地の同僚と知り合えたことは,自分が海外勤務しなくてはあり得なかったことです.
日本人駐在員は一緒に戦う戦友に
日本人駐在員同士でも日本の本社で勤めているときは部門の違いで親身に話す機会がなく顔だけは知っているということはあります.
しかし,駐在員になることで肩を寄せ合って日々遅くまで議論する濃厚な関係になることができました.
海外法人に勤務する日本人同士は,自然と「同じ窯の飯を食う」仲間になります.
部署を超えて人と人の繋がりが強くなる
一緒に遅くまで働いて,苦労を乗り越えて成果を出すことをしていると,所属部門,年齢は関係なく戦友のように仲良くなります.
日本の本社が要求してくる無理な課題に対して,どのように応えていけばいいか日本人駐在員同士で頭を捻りながら協力して最善の解を出していきます.
ポイント
日本に帰任した後も続くであろう貴重な人間関係を駐在員生活で築くことができました.
英語で仕事をする語学力
私はいま東南AsiaのMalaysiaで仕事をしていますが,仕事で使う言語は英語です.
日本人駐在員同士で意思疎通をするときは日本語を使いますが,会話の輪の中に一人でも現地の同僚がいるときは即座に英語に切り替えます.
私にとってMalaysiaでの仕事は初めての海外勤務経験でした.
赴任する前から英語には自信がありましたがいざ赴任すると,思ったように英語を話せない自分に驚きました.
英語で仕事は「経験値」が大切
英語で仕事をし始めて半年くらいで,肩の力を抜いて「気軽に英語を話せば良いのか」という方法に気づきました.
メールで英語を書くときは文法を気にしながら書けますが,話していると文法が正しいかどうか瞬間ごとに考えていたのでは自然な会話が成り立ちません.
徐々に「英語で仕事をすること」に慣れていきます.英語の力が伸びてきたというよりは,「手持ちの英語表現」をどのように組み合わせればよいかという実践が結果に現れてきた感覚です.
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英語が第2言語の国で働いて
Malaysiaでは英語は第2共通語として幅広く話せれていますが,Malaysia人にとっても英語は第2外国語です.
流暢に英語をMalaysia人の同僚は話しをしていますが,彼らが話している内容を聞いていると,発音も文法も英国・米国の標準からは離れています.
Malaysia人が話す英語を聞いていると,自信を持って意見をいうことが大事だと改めて学びました.
ポイント
基本の文法力がないと文の構成ができませんが,あまり細かい表現に気にしなくても,脱力しながら英語を話しても良いのだと気づけたのは大きな成果です.
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ストレス耐性
仕事ばかりではなく,生活面でも海外にいると,「こんな簡単なことで頭を悩まさなくてはいけないの?」ということがあります.
海外駐在した当初は周りの人に一から教えてもらいながら,生活・仕事の基礎を固めていきました.
電球すらどこで買っていいか分からない
仕事については日本での勤務経験から,ある程度は連続性で海外でも同じようにすればなんとかなるだろうと言う感覚がありました.
しかし,生活面は意外なほど簡単なことでもできなくて困ってしまいます.
例えば,電球が切れたら電球を買いに行かなくてはいけませんが,「どこで電球が買えるのか」がすぐに分かりませんでした.
家電量販店で電球を買うことが良いような気がしますが,家電量販店がどこにあるかわりません.
海外では初心者である自分を受け入れる
「こんな簡単なこともできない自分」が情けなくて,一人苦しみました.
気分が変わるきっかけとなったのは,「初めての海外暮らしをしているのだから,できなくて当たり前」という考え方を採用したことです.
以降は,肩の力が抜けて,気楽にいろんなことに挑戦できるようになりました.
知らないことは恥ずかしくない
仕事については自分の担当外のことでも飛び込み依頼が来ると,「そんなこと知らないよ」と頭が真っ白になります.
正直に知らないことを認めて周りの助けを得て仕事をしたり,逆に依頼主と調整をすることで依頼主の満足のいく結果を出せます.
ポイント
ストレスに押し潰されないで,図太く上手に解決策を探す心意気が身につきました.
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まとめ:日本の10年分の経験を海外勤務で数年で経験できる
海外勤務をして成長したことを紹介しました.
海外勤務で成長したこと
- ストレス耐性
- 人間関係の構築
- 事業利益構造の理解
- 英語で仕事をする語学力
- チームで仕事の質を高める管理能力
- 限られた時間で成果を出すための生産性
- 誰が抜けても仕事を完成させるための管理能力
海外勤務は良いことばかりではありません.
海外勤務をしたことの後悔は,「日本の本社に戻りたくない」という気持ちが湧いてきてしまうことです.
せっかく海外で培った経験と能力をもとにもっと挑戦をしたいのに,日本に戻ったら狭苦しい組織の中で肩身の狭い思いをすることが容易に想像できてしまいます.
海外駐在を終えた先輩方のキャリアをみながら,私は帰任後にどうするか考え始めています.帰任後の自分のキャリアはゆっくりと考えながら結論を出していきます.
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