2021年1月8日,2回目となる緊急事態宣言が首都圏1都3県で発令されました.
緊急事態宣言が発令された時,私はちょうど日本に帰国していましたので東京の雰囲気と私の感想を紹介します.
日本首都圏での2回目の緊急事態宣言
新型肺炎に対策として,東京,神奈川,千葉,埼玉の1都3県で2021年1月8日から2月7日まで緊急事態宣言が発令されました.
2回目の緊急事態宣言における自粛の対象は,飲食店業界です.
感染初期から考えると,「外国人」「夜の街」「若者」そして「飲食店」と感染症の”悪者”が推移してきました.
本当に”悪者”が悪者だったのかきちんと検証は必要ですが,モグラ叩きのような対策を続けていても感染症は根絶されることなく長く続くだけです.
緊急事態宣言の先の,感染症と向き合う日本のあり方を菅首相には明示して欲しいです.
一方で,政治判断の中にはとても失望したところが2つありました.
1つ目は,相互承認をしている11カ国とのビジネストラック,レジデンス・トラックの運用の継続です.
日本国民には不自由をお願いしておいて,外国籍入国者への制限はないというのは不均衡な判断です.
1月8日時点,批判を受けた内閣は,出国前の事前のPCR検査を要求する項目を追加するようですが,次のことが気になっています.
- 陰性証明書の信用性の問題
- 感染症潜伏期間を踏まえた自主隔離のあり方
→ Yahoo News: 「ザル入国」厳格化、これで十分? 全入国者にPCR検査もビジネス往来止めず…佐藤正久氏「すり抜ける可能性ある」
日本に帰国する日本国籍の人全員を対象に72間前のPCR検査を要求する方向で調整しているようです.2021年1月以降日本に帰国予定のある方はご注意ください.
優先順位としては,まず入国者の強制的な隔離を行うべきだと思います.
完全に鎖国状態にするわけでもなく,入国後の強制的な隔離をすれば良いです.
2つ目は,国会議員の会食の規定を議論を自主判断とした点です.
→ Yahoo News : 国会議員の緊急事態宣言下の会食ルール作り見送り 各自が判断へ 議運委理事会
「マスク会食」,「5つの小」,「不要不急の外出自粛」,「帰省の自粛」など数えきれない”お願い”を国民にしてきた国会議員が,模範を示せないとは如何なものかと感じました.
ましてや,90名以上を集めた政治資金partyやステーキ店での忘年会をしている国会議員もいて,二枚舌(double standard)もいい加減にして欲しいです.
日本の感染症対策は,国民の一人一人の意識に
Malaysiaから日本に帰国後,隔離生活2週間を終えて私は外出を開始しました.
日本の自主隔離は,隔離を見守る監視体制もなく,違反者への罰則もありません.
性善説に依存した体制になっています.
空港での感染症検疫はあります.
しかし,病原菌の潜伏期間を考えると,最悪の場合,自宅隔離を守らない入国者が外出して感染を伝染させてしまう可能性は充分にあり得ます.
日本に自宅のある日本人でも,2週間の隔離は食料確保の面で難しいです.ましてや,外国人の人が2週間の隔離期間中に全く外出せずに食料を確保できるとは思えません.
11カ国からの外国人受け入れ(ビジネス・トラック,レジデンス・トラック)は継続しています.
日本国民の生活を制限する前に,入境を制限する方が先決です.
Malaysiaを含めて諸外国がしているように,入国者のhotel強制隔離にした方が当面は良いと思います.
日本の接触確認アプリは普及率20%程度
日本の接触確認アプリ「COCOA」をdownloadして利用している件数は,2020年9月末時点で約1,778万件だそうです.
COCOA利用者は日本人口の20%にも達していません.
接触確認アプリは,人口の大部分の人が使って相互に感染を確認することが目的なので,人口の少数しか使っていない現在の状況では感染追跡は難しです.
百貨店・飲食店に入る時でさえ,QR codeによる身分登録がなく,私は驚きました.
お店によっては,入店者に対して次のことを義務付けています.
- マスク着用
- 体温検査
- alcohol消毒
Malaysiaでは当たり前の身分登録ですが,一度も日本で入店時に身分登録を求められたことはありません.
飲食店が感染源の”温床”として,2回目の緊急事態宣言時に感染症対策の標的になっています.
飲食店が感染源か疑問視する声はあります.
陽性反応が出た人が,検疫間から感染経路を聞かれたときに誘導尋問のような形で「飲食店」と回答してしまうそうです.
確かに,自分がもし感染したとして,数日前の記憶を呼び起こして一番印象に残っているのは飲食だと思います.
日本中で飲食店を感染症の”悪者”にしようとする空気が熟成しています.
しかし,私の好きな飲食店に何軒か行きましたが,すでにお客さんを守る感染症対策に最善の工夫をされていると感じました.
濡れ衣を晴らすためにも,感染症追跡アプリの利用徹底を飲食店業界からも声を上げてもらった方が良いと思います.
LINEでの入店登録が即実行できそうですが,民間企業のアプリなので個人情報の観点で懸念は残ります.
市内での感染が広がった状況で,再度感染経路追跡を行う必要があるのか疑う向きもあると思いますが,低costで少しでも感染経路を早く突き止めるのに協力すべきです.
感染症の追跡という点では,MySejahtera(Malaysiaの感染症対策アプリ)による入店時の登録をしているMalaysiaの方が,日本に比べて感染症の追跡体制はしっかりしています.
日本とMalaysiaのどちらが感染するriskが高いかと聞かれたら,私は「日本の方が怖い」と思います.
国民あたりの1日あたりの陽性者数でいえば,2021年1月時点ではMalaysiaの方が若干高いです.
しかし,日本は市中に感染が満遍なく広がっており,”誰でも感染するrisk”を感じます.私の知り合いの中でも,実際に感染した人が出て,入院をしています.知り合い曰く,感染経路は不明だそうです.
日本にはどこに"red zone(感染率が高い地域)"があるかが不明確なために,常に自衛していないといけない危機意識を感じました.
Malaysiaは感染経路の追跡がしっかりしていて,市中に感染が蔓延している印象はなく,特定の場所に感染が集中しています.
2020年10月以降,外国人が集団生活する宿舎で集団感染が多発しているために陽性者数がうなぎ上りになっています.
追跡体制は整えている一方で,外国人労働者の劣悪な衛生環境を撲滅できていないのがMalaysiaの状況です.
緊急事態宣言初日1月8日の渋谷
緊急事態宣言が施行された初日の渋谷スクランブル交差点の様子です.
金曜日のお昼頃の撮影なので,週末の混雑に比べれば人は少ないですが,いつもの賑わいは感じられませんでした.
内閣は明確に「(夜の)飲食」を制限するために緊急事態宣言を発令しました.昼間の人通りを減少させることは,緊急事態宣言の目的ではないので,いつも通りの光景で良いのでしょう.
渋谷スクランブルには,いつも外国人旅行客の人がたくさんいて,真ん中で写真撮影をしていますが,流石に観光目的での入国を制限している今,観光客の姿は目につきませんでした.
お昼ごはんは,『すしの美登利 渋谷店』でいただきました.お寿司の表面がみずみずしく,新鮮なお寿司をいつも提供してくれます.
お昼の混雑時12時に到着したにも関わらず,待ち番号3番で,ほとんど待たずに入店できました.いつもだったら,待ち時間3時間くらいは覚悟をしなくてはいけません.
いつも観光客の人が大行列している店前も,唖然とするほど閑散としています.
『すしの美登利 渋谷店』は,外国観光客に人気のお寿司屋さんですが,味は伝統的です.
観光客の減少でお店の存続が危ぶまれるのではないかと心配します.
今回の緊急事態宣言によって,日本の食文化がうける影響は甚大ではないでしょう.
緊急事態宣言下で閉店に追い込まれるお店が育んできた味は,もう戻りません.
まとめ
日本の首都圏で2回目の緊急事態宣言が発令されました.緊急事態宣言がそもそも必要だったか懐疑的ではあるのですが,発令された以上は粛々と従っていくしかありません.
緊急事態宣言の効果と今後の日本のあり方については,政府からの発表を期待しています.
近所の商店街を歩いていても,1年前に比べて,いくつかの飲食店が閉店していました.
緊急事態宣言が出た後,営業時間を夜の8時までに短縮するお店や,もう平日の営業を見送ったお店もありました.居酒屋だと夜8時までしか営業できないなら,はじめから営業しない方が赤字を抑えられるという判断になるのでしょう.
営業時間短縮に応じてくれた飲食店には補助金を自治体が出すそうですが,なぜ営業時間短縮しなくてはいけないような事態に陥ってしまったのか.飲食業界を袋叩きにするような報道は見たくありません.
日本は感染症追跡アプリを活用すれば良いと思います.
感染症riskのある場所とそうでない場所を解明して,多くの人が早く普段の生活が送れるような対策を立てられます.