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RMCO 2020年末まで延期,防疫対策の行先は?【マレーシア 新型コロナ】

2020年8月29日

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こにゃん
こんにちは,こにゃん(@こにゃん)です.

 

2020年8月28日(金)20:00ごろからMuhyddin首相が会見を行い,RMCO(回復期行動制限令)を2020年12月31日まで延期する内容を発表しました.

 

新型肺炎の防疫として導入された,MCO(行動制限令)が施行されたのは2020年3月18日.

半年間何回も行動制限令の延期を繰り返しながら,今回も延期となりました.

 

RMCOは2020年末まで延期

新型肺炎の感染拡大防止のために2020年3月18日に導入されたMalaysiaの行動制限令

現地では,『MCO(Movement Control Order,行動制限令)』と呼びます.

名称を変えて何回も延長を繰り返し,現在は『RMCO(Recovery Movement Control Order,回復期行動制限令)』が発令されています.

ほぼ日常生活を取り戻したMalaysia

RMCOは,いわゆる都市封鎖令ではなく,生活衛生遵守を義務付けることに主眼が置かれており,日常生活には大きな支障はなくなりました.

 

日本の”3密”回避を,罰則を伴って施行しているのがMalaysiaの現状になります.

Muhyiddin首相の会見

8月28日20:00からMuhyddin首相が会見を行い,RMCOを2020 年12月31日まで延期する発表を行いました.

FMT: RMCO extended until Dec 31, says PM

国内でいくつかの集団感染が発生していることから,依然防疫への警戒を維持しなければならないとMuhyddin首相は述べました.

SOP違反者への罰則引き上げへ

SOP(行動遵守規則)の違反者に対する現行罰金RM 1,000(日本円 25,000円)を2倍,3倍に引き上げることを検証しているとも言及をしました.

Malaysia人の初任給がRM 2,500前後であることを考慮すると,いかに高い罰金かお分かりいただけると思います.

法律上は,mask着用を怠っただけで現在でもRM 1000の罰金が科せられる可能性があります.

Malaysia帰国者の14日間強制隔離を実施

さらに国境管理を徹底管理して,帰国者は政府指定hotelでの14日隔離管理を徹底しています.

 

依然は(自主的な)自宅隔離が施行されていましたが,隔離中に外食をしている写真がSNSに掲載されて炎上しました.

実際に,Indiaからの帰国者が隔離を守らず集団感染を発生させています.

 

政府は方針を厳格化して,Malaysia入国者の指定hotelでの2週間隔離を7月24日以降施行しています.

The Star: Covid-19: Hotel quarantine mandatory for all returning to M'sia starting Friday (July 24), says Ismail Sabri (updated)

隔離ホテルの体験

私の知人も,隔離が厳格化した7月24日以降にMalaysiaへ渡航しました.Hotelの隔離生活を聞くと,

  • Malaysiaに到着するまで,事前には政府指定hotelが不明
  • 2週間隔離中は,部屋から一歩も外に出られない
  • 食事は3食支給,食べ終わった容器は(黄色い注意マークのついた)専用ゴミ袋で回収

隔離中,抜き打ちでPCR検査が行われるそうで,検査のためにhotel駐車場へ連れていかれるそうです.

知人は,外気を吸えたのは検査の時だったと苦笑いしていました.

 

(2021年1月追記)私も2021年1月にホテル隔離を経験しました.その際の体験を記事にまとめました.

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RMCO延長に関する私の感想

RMCOの延長は,もありなです.

RMCOの先が見えない

私を含めて多くのMalaysia人も,政府のRMCO延長の決断に対して肯定とも否定とも言えない感想を持ったはずです.RMCOを延長しようが,解除しようが生活に大きな差異はないからです.

 

焦点は,いつ国境を開放するかです.

 

政府発表では国境は引き続き厳格管理を行います.

どちらかと聞かれれば,私はRMCOは解除されるべきだったと考えます.

理由は,

  • 人々の生活には新常態が根付いている.
  • 人々を萎縮させて経済活動を止めるべきでない.
  • 新型肺炎感染は落ち着いており,国内ではほぼ鎮圧している.帰国者の感染を厳格管理すればよい.

 

RMCOは,新常態を国民に根付かせるためのギブスのような役割をしています.

新型肺炎感染riskは半年間のMCOですでに人々に認識されており,新常態は定着しています.

 

こにゃん
ギブスがなくても,当然のように自律的に歩ける.ギブスがあると,むしろ回復する力を阻害してしまう.もう怪我は治ったのだからギブスは要らないと思います.

RMCOは,生活に大きな制限を科すものではありませんが,罰則が伴うことから人々を萎縮させています.政府も感染拡大防止のためですが,罰則を強調しすぎています.

Malaysiaの2Q GDP速報値は前年比▲17.1%

MCOによる経済への悪影響はすでに統計に現れています.

 

Malaysiaの2Q GDP速報値は前年比▲17.1%でした.

NIKKEI Asia: Malaysia GDP plunges record 17.1% in Q2 under pandemic pressure

厳格な外出禁止令が出ていた4月の経済停止を考えると,2Q GDP前年比 17.1%減で収まったことがむしろ意外です.

 

3ヶ月の内1ヶ月は経済が緊急停止したので,33%を超えるもっと,悪い可能性を考えていました.

政府は経済を前年比で回復,さらに2020年後半で遅れを取り戻すくらいのカンフル剤となる政策をとるべきです.

 

RMCOを延長することで,経済への支障が少しでもあってはいけないと私は思います.

RMCOの本来の目的である感染拡大防止については,すでに達成しています.

感染症対策から経済復興への切り替えが必要

政府高官が感染者0を目指していると発言していることは私も知っっていますが,防疫と経済の天秤を考えて最適解を考えるべきです.

Malaysiaの新型肺炎感染者数は,8月は毎日新規感染者10人前後の日が続いており,死亡者は累計125名,8月中は新規死亡者はいません.

 

経過観察中の感染者数(PCR検査陽性者)graphを見ると,政府の厳格な疫病対策によ疫病は管理下に収めたようにみえます.

出典:COVID-19 Outbreak Live Updates

Malaysia政府の方針だと,たとえ国内感染者が”0”になっても国外で感染が続いている限り国境は封鎖し続けて,一人でも国内で感染者が出るとまた行動制限令を出さなくてはならなくなります.

 

行動制限令に関する数値的な根拠と経済回復に関する政策を提示して,政治家には国民を勇気付けてほしいです.

海外では感染鎮圧まで多くの死者を出した国も少なくありません.Malaysia政府はいち早く疫病対策で成果を出しています.

やるときは果断に実行するMalaysia政府ですから,今後の政策にも期待しています.

MCOの振り返り

RMCOが2020年末まで延長されることを機に2020年3月以降のMCOについて振り返ってみます.

精神的にも負担の大きかったMCO

MCOが施行された最初の2ヶ月は,警察,軍隊が出動して街を封鎖しました.

国境が閉ざされたことはもちろん,Malaysia国民も,不要不急の理由で外出するだけで逮捕される状況でした.

 

経済活動は基本的に停止命令が下されました.

 

私もほぼ2ヶ月同僚・友人とは一人も会えず,人との接触と呼べるのは,supermarketの買い出しの時くらいでした.

外出する自由を奪われたMCO期間中は,まさに戦時中のような様子で,部屋で一人精神的疲労が限界まで到達していました.

同僚との再会に胸が熱くなったCMCO

経済停滞に対する経済界からの批判が強まり,5月1日に政府はCMCO(Conditional Movement Control Order,条件付き行動制限令)に5月4日から移行することを発表します.

 

CMCO発令後の大きな変化としては,

  • 外出は自由になった(但し,国内でも週を越える移動は制限)
  • 企業や飲食店は,感染拡大防止対策を条件に徐々に再開

 

私も,CMCO発令された後,2ヶ月ぶりに同僚と再会しました.

本当に人と対面で会話をしておらず,一人部屋の中で閉じこもっており,同僚との再会は胸が熱くなるくらい嬉しかったのを覚えています.

 

出社はできるようになり一部の商業施設や飲食店も再開してきたのですが,(州によっては)夜20:00までしか営業を認められておらず,仕事終わりままっすぐ帰宅する生活になりました.

 

もともと外食は多い方ではないのですが,外食する自由が奪われることは生活の色彩を失うことに等しいです.

久しぶりに土日のお昼に食べた板面が涙が出るくらい美味しく感じました.

日常生活がほぼ戻ったRMCO

そして,6月7日にMuhydinn首相はMalaysia国内の感染拡大防止から一歩前へ国内を牽引するために,RMCO(Recovery Movement Control Order)を導入することを発表します.

施行は,6月10日から8月31日まででした.

RMCOでは,ほぼ日常生活が戻りました.

新型肺炎発生以前との相違点

  • 国境が実質上封鎖
  • 生活衛生遵守の義務

こにゃん
私のような外国赴任者からすると,日本への里帰りができないことは残念です.家族の顔を見れなくなり,日本の美味しい食事も食べることができません.

まとめ

Malaysiaの行動制限令は,制限内容が次々に変化しています.

MCO(3月18日施行)→ CMCO(5月4日施行)→ RMCO(6月10日施行)

 

MCOとCMCOが,いわゆる「lockdown(都市封鎖)」と言われる状態です.

CMCOが,日本の緊急事態制限に近いです.但し,Malaysiaでは,違反者は罰金もしくは拘留されるので,制限令の強制力はMalaysiaと日本で大きく違います.

RMCOに入ると,入店の際の体温検査と個人情報登録があるくらいで,日常生活は大きな支障はもはやありません.

私の不満点は,

ココがダメ

  • 行動制限令を出すのならば,数値的な根拠と解除に向けた指標を提示してほしい
  • RMCOが導入されてから,2ヶ月以上経ちますが”出口戦略”が見えない

新型肺炎対策では成功を収めたMalaysia政府ですが,次の有効な一手が示せていません.政府の政策に期待をしています.

 
こにゃん
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