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マレーシア一般

【マレーシア経済】GDP 2020年Q3は回復傾向,しかし改善理由は安心禁物

2020年11月13日

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こにゃん
こんにちは,こにゃん(@こにゃん)です.

 

CY20 Q3(7-9月期)のGDP速報値が発表されました.前年同期比で,Q3 GDPは2.7%減少.

Malaysiaの2020年経済はどうなるのでしょうか?

 

この記事でお伝えしたいことは,次になります.

本記事の内容

  • Malaysia 2020年Q3 GDP前年同期比で2.7%の減少.Q1-Q3合計値では,6.7%減少.
  • 一時的な供給増・需要増はあったが,経済は不活性状態.
  • Q4での感染症拡大により,Q4 GDPは再び悪化予想

Malaysia統計局,CY20 Q3 GDP発表

data

CY20 Q3 GDP ▲2.7%

Malaysia統計局によると,Malaysia CY20 Q3(7-9月)のGDPは,次のようになりました.

ココがポイント

  • Q3 GDP RM351 billion(日本円 約8.8兆円)
  • Q3 前年同期比で2.7%の減少

前回,CY20 Q2(4-6月)のGDPは前年同期比で17.1%減少でした.

前年同期との比較で,Q2 17.1%減少→Q3 2.7%減少ということなので,

2020年Malaysia経済は引き続き縮小していますが,4半期としては年初来初めて回復となりました.

CY20 Q1-Q3 GDP ▲6.7%

Q3だけでなく,Q1-Q3の数字を前年2019年と比較して見ます.

  • 2019年 Q1-Q3 GDP合計値 RM1.05兆
  • 2020年 Q1-Q3 GDP合計値 RM0.98兆
  • Q1-Q3 GDP 2020年/2019年 ▲6.7%

Q2→Q3で回復傾向にあるものの,CY20のGDPとしては悲観的にならざるを得ません.

MalaysiaのGDPは年率4-5%を維持してきました.

したがって,本来あるべきだったGDP成長率を基準にすると10%以上下落している計算になります.

Malaysia 2020年経済は楽観できない

segmentation

今回発表されたQ3 GDP回復ですが,どん底の経済に光明がさしてきたように見えます.

しかし,GDP発表内容の詳細を見ていると,経済回復は道半ばです.

  • Q2での製造供給が停滞.穴埋めをする形でQ3での供給増加.
  • 主要産業のService業のGDPの回復が遅い.
  • Q4でのCovid-19の感染拡大・CMCO再施行による経済活動の停滞.

産業別のGDP Q3内訳

Malaysia統計局は,産業別にGDPの変化をまとめています.

Malaysia GDP Q3 sector*Q3 前年同期比Q2 前年同期比

出典:Malaysia統計局 Malaysia Economic Performance Third Quarter 2020

Service業 ▲4.0%

GDP総額の47%を占めるService業の前年同期比が4%減少でした.回復傾向にあるものの,本格的な回復までは時間がかかりそうです.

銀行,保険,通信

銀行,保険,通信は,すでに減少幅を縮小しています.

在宅勤務の影響も少なく,むしろ在宅勤務が加速することで生産性の向上につながる可能性があります.

ただし,Bank Negaraの公的金利(OPR)は2020年7月以来,1.75%と低金利時代に入りましたので,銀行の経営は注意が必要です.

卸売,小売

卸売,小売も前年同期比の減少幅を2.5%まで圧縮しています.

理由は,4輪車・2輪車に対する,国産品の消費税免除,輸入車の輸入税緩和によりQ3の販売数の増加.

観光

観光もQ3は売上減少幅を縮小しました.Q3(7-9月)はすでに州をまたぐ移動制限も解除されたRMCO(回復期行動制限令)が導入されており,国内旅行により客数が回復しました.

税金の引き下げによる車の販売額回復は,一時的な現象で継続性はありません.

観光業の回復は,肝心の外国人観光客の受け入れも何も決まっておらず,Q4(10-12月)はCMCOの影響で大打撃を受ける見込みです.

今後の経済見通しを考えると,暗い気持ちになります.

製造業・農業・畜産業 △3.3%

唯一,前年同期比で増加となったcategory.

全GDPに占める割合も23.7%と大きいです.

製造業

Q3 増加の主な理由は,製造業です.

輸出向けの製造総額が前年度同期比で5%増加しています.

製造各社は,Q2の減少分を取り戻すために,Q3で稼働をあげて生産量を増やしたと推測します.

Covid-19が引き起こした一時的な不況は,供給の停滞を招きましたが,世界的な需要は底堅いことが伺えます.

農業・畜産業

農業・畜産業は生産量が安定しており,内需も変化が少ないので,やはり製造業が変動の主要因と思われます.

各国給付金を行ったこと購買意欲は健在で,世界的な需要はまだ底堅いようです.

Q1-Q2で供給が止まった分を,Q3,Q4と挽回しようと生産計画の拡大を見直していました.Q3は増産ができましたが,Q4は…

Q4の製造業の指標に注目です!

天然ガス・石油 ▲6.8%

天然ガス・石油業界は,前年比同期比では依然6.8%減少ですが,Q2の減少幅20%に比べると回復傾向が顕著です.

 

統計局は理由は,天然ガスと石油の生産が回復したことを述べています.

私は,世界的な原油価格の下落が底を打って,反転し始めたことも一因ではないかと思います.

 

Q3 失業率は4.7%となり,Q2の5.1%よりわずかに減少して雇用の回復を示しています.

CY20 Q4 GDPはどうなる?

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CY20 Q4(10月-12月期)の結果はどうなるのでしょうか?

私は,Q4の結果は,MCOが発動していたQ2の17.1%減よりは良いでしょうが,RMCOのQ3 2.7%減よりも悪いのではないかと思います.

大きな要因としては,

ココに注意

  • 経済中心のKlang Valley一帯でCMCOを再実行,11月からは全国規模にCMCO対象地域拡大.
  • Covid-19の感染拡大が10月以降に急拡大.PCR検査陽性者対応で商業施設,工場の稼働停止.
  • 学校・幼稚園を閉鎖したことにより.親の仕事と子育ての両立苦境.
  • 政府主導での在宅勤務推進と州境移動制限による,小売・飲食業界・観光業への影響.

Bank Negara Malaysiaは,2021年GDP成長率を6.5%-7.5%と見通しをQ3発表当日に示しました.

Malay Mail: Bank Negara: Malaysia’s economy remains on road to recovery, forecast for GDP rebounds in 2021 from 6.5pc now to 7.5pc

 

2020年比でGDP成長率が6.5%-7.5%回復すると,2021年GDPはちょうど2019年水準に戻る計算です.Covid-19感染拡大前の2019年と同じ経済水準に戻るというのも決して簡単な話ではないようです.

まとめ

Malaysia統計局のGDP Q3(7-9月)の結果は,前年同期比で2.7%の減少で,年初来初めて回復傾向を示しました.

回復の理由を因数分解してみると,Q4以降の見通しを楽観できないことがわかります.

Malaysia政府は活動制限を早く解除して,国民には新型肺炎を”正しく恐れる”ことを周知することで,底冷えした内需を刺激することを望みます.

 

 

 
こにゃん
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