Bitcoinを経由して海外送金する方法を実際に試してみましたのでやり方をご紹介します.
海外在住をしていると,現地の通貨をどのように日本円に返金して日本の銀行に送金届けるかで悩みます.
銀行間の海外送金は手数料が高く,為替レートも不透明であまり使用していませんでした.「Wise」のように海外送金を安くするサービスがあることも知っていたのですが,他に方法がないか考えていました.
そこで思い付いたBitcoinを使って海外送金をする方法を本記事では紹介します.
この記事では,Bitcoinを利用してMalaysiaの通貨MYR(Malaysia Ringgit)を日本円に交換する方法を紹介します.他の海外通貨と日本円の交換,もしくは海外通貨同士の交換についても方法論は同じですので,普遍性がある方法です.
実際にBitcoinを利用して海外送金してみた私の感想も書きましたので,この記事を読み終える頃にはこの方法の良し悪しをご理解いただけると思います.
注意
いわずもがなですが,仮想通貨に関する法規制は流動的で,仮想通貨取引にまつわる潜在的な危険性もありますので本記事で書かれた内容を試される際はご自身の責任でお願いします.
こんな方におすすめ
本記事は次のような方におすすめです.
こんな方におすすめ
- 海外在住で日本への送金をしたい方
- 仮想通貨,FXの取引経験のある方
Bitcoinを利用した海外送金の方法自体は難しくはないのですが,仮想通貨取引所での売買が伴うため為替取引の経験がないと戸惑われると思います.
仮想通貨・FXの取引経験がないと,Bitcoinの売買時に予期せぬ損失を抱ええてしまう可能性が比較的高くなります.このような場合,銀行・Wiseによる海外送金を選ばれた方が無難です.
Bitcoinを利用した海外送金に必要なもの
Bitcoinを利用した海外送金に必要なものは次になります.
必要なモノ
- 海外の銀行口座
- 海外の仮想通貨取引所口座
- 日本の銀行口座
- 日本の仮想通貨取引所口座
Malaysia在住の方には,口座を開設するだけで700円相当のBitcoinがもらえるお得情報がありますのであわせてお読みください.
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Bitcoinを利用した海外送金の仕組み
Bitcoinを利用した海外送金の仕組みを図にまとめました.
簡単な流れ
- 海外の銀行から同国内の仮想通貨取引所に振り込み
- 海外の仮想通貨取引所で海外現地通貨をBitcoinに変換
- 海外の仮想通貨取引所から日本の仮想通貨取引所へとBitcoinを転送
- 日本の仮想通貨取引所でBitcoinを日本円に変換
- 日本の仮想通貨取引所から日本の銀行に振り込み
Bitcoinを経由することで各国の通貨の間を行き来することになります.
ただし,各国ともBitcoinを含めた仮想通貨(暗号資産)に対する規制が異なりますので事前のご確認が必要になります.
ポイント
Malaysiaのように税制面で仮想通貨取引に対して規制が低い国がある一方で,中国のように自国内での仮想通貨(暗号資産)取引を全面的に禁止している国もあります.
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銀行送金・Wiseとの送金費用比較
銀行送金・Wise・仮想通貨取引所経由の3つの場合について,Malaysiaから日本に海外送金した場合の手数料を比較しました.
比較対象は,次の3つの方法となります.
- 海外送金
- Wise送金
- Bitcoin経由の送金
手数料の比較表は次です.
Malaysiaから日本に海外送金する場合に関しては,銀行送金が最安となりました.しかし,銀行送金の場合の為替が表示されておらず為替に対して隠れた手数料が発生する可能性があります.
手数料の安さと価格構造の透明性では,Wiseによる送金が良さそうです.
ポイント
- Bitcoinによる海外送金は必ずしも最安ではない
- 送金にかかる時間は1時間強であり,休日でも平日でも手軽に行える
- Bitcoin特有のリスクを理解しておく必要がある
Bitcoinを利用した海外送金のリスク3つ
Bitcoinを利用した海外送金のリスクを3つ紹介します.
- 送金先間違い
- 雑所得申告
- 為替変動
送金先の間違い
Bitcoinを受け取るための入庫先アドレスは長くて複雑な英数字の配列になっています.
次の画面には入庫先がアドレスが表示されていますが,手入力で入力すると高い確率で間違えそうです.
注意ポイント
送信時に振込先のアドレスを一文字でも間違えると送金したBitcoinは半永久的に失われます.そして,間違えて振り込んだ先の相手を知ることはできません.
銀行間の海外送金では,相手の振込先確認に時間がかかる分振込先間違えは防ぐことができます.Bitcoinによる海外送金では手軽に送金できる一方で,振込先の確認は自己責任となります.
雑所得申告
Bitcoinを日本円に換金した際に,「仮想通貨による雑所得」が発生したことになります.
海外送金自体のリスクではないのですが,海外の仮想通貨取引所で購入した際の「取得単価」が証明できないと,日本でBitcoinを日本円に換金した際に換金した金額全てに対して最大55%の課税がなされる可能性があります.
仮想通貨の雑所得に対する課税対象は,本来であれば「購入時と売却時の差益」です.
ポイント
海外で仮想通貨を購入して,現地通貨での購入金額を証明できないまま日本に送金して日本の仮想通貨取引所で日本円に換金すると,「購入時の評価額」が不明となり,仮想通貨売却額の全てに課税される可能性があります.
海外居住をされている方で日本で発生した金融所得に対する税金でお困りの際は,税理士にご相談ください.
適切な納税を行わないと脱税行為となり追加徴税の対象になる可能性があります.
もしも相談する税理士がいない時は,無料で税理士を紹介できる「税理士ドットコム」でご相談ください.
税金でお困りの方は早めにご相談をおすすめします.
為替変動
Bitcoinを使った海外送金をする上で個人が最も関係するリスクは,為替変動による損失です.
瞬間をとらえれば3つの通貨の為替は可換
瞬間ごとには,「外国通貨」「日本円(もしくは他国の通貨)」「Bitcoin」の3つの通貨を変換するレートは可換な関係となっています.
下の図では,三角形の矢印をどのようにたどって通貨を変換しても結果は始点と終点にしか依存をしません.
3つの通貨の為替が刻々と変化
一瞬の間に,「外国通貨 → Bitcoin → 日本円」と変換できたとすれば,初めから「外国通貨 → 日本円」と直接変換した場合と同じ結果が得られます.
「外国通貨 → Bitcoin → 日本円」の取引において,時間がかかることが問題となります.3つの通貨の三つ巴の関係は瞬間ごとに変化をするため,その間に予期せぬ損得が発生します.
話を単純化するために,「外国通貨 → 日本円」の為替が固定(動かない)と仮定します.
しかしBitcoinを送金している間の1時間の間にBitcoinの価格が変動することで,本来「外国通貨 → 日本円」の為替は固定していると仮定しているはずが,結果,疑似的な外国通貨 → 日本円」の為替は変動しています.
ポイント
Bitcoinによる海外送金では,Bitcoinが変動することにより為替損益が発生します.Bitcoinの価格が安くなれば「為替損」が発生しますし,Bitcoinの価格が高くなれば「為替益」が発生します.
Bitcoinの為替変動はMYRの5倍
Bitcoinの価格変動は非常に大きいので,海外送金として利用するときは注意が必要が必要です.
日本円を基準としたときに,Malaysiaの現地通貨MYRと仮想通貨のBitcoinの価格変動を比較しました.2022年1月3日の終値を1として2022年1月の1カ月間の価格変動をまとめました.
ポイント
日本円を基準としたときBitcoinはMYRよりも5倍大きく変動していて,BTC/JPYの1日変動率平均は2%でした.
実際にBitcoinで海外送金してみた
Malaysiaの仮想通貨取引所を例に手順を説明しますが,他の国の仮想通貨取引所でも同様の手順になります.
参考
Malaysiaの仮想通貨取引所「Luno」を利用して送金をしました.
step
1海外の銀行から同国内の仮想通貨取引所に振り込み
海外の銀行口座から同国内の仮想通貨取引所の口座に必要な額を振り込みます.
step
2海外の仮想通貨取引所で海外現地通貨をBitcoinに変換
仮想通貨取引所内の口座に振り込んだ海外現地通貨でBitcoinを購入します.
ポイント
Bitcoinを購入するための取引手数料自体は無料であることが多いのですが,Bitcoinと現地通貨の為替に0.5%程度の隠れた手数料が発生します.
step
3仮想通貨取引所間でBitcoinを転送する設定
海外現地の仮想通貨取引所から日本の仮想通貨取引所へとBitcoinを転送するための手続きをします.
「Wallte(口座)」内の「Send(送金)」を選びます.
仮想通貨取引所間の送金をする前に確認があります.
「詐欺や間違った送信先に送金をしてしまうと,二度とお金は取り戻せない可能性がありますが,送金を可能にしますか?」
確認ボタンを押して送金操作を可能にします.
ポイント
Bitcoinの特徴として一度送金する操作を行うと取り消しができませんので,送金する際はQRコードで送信先を登録するようにした方が良いです.
電話番号に送られたSMSを確認してリンクを押すと,「24時間後に送金が可能になる」と通知があります.初回の送金のみ手続きをしてから24時間経たないと送金手続きが進みません.
メモ
仮想通貨取引所間の送金を可能にする設定は初回のみで,2回目以降は同様の認証を求められません.
step
4海外の仮想通貨取引所から日本の仮想通貨取引所へとBitcoinを転送
海外の仮想通貨取引所から日本の仮想通貨取引所へとBitcoinを転送をする手続きをします.
初回に関しては送金設定が完了するまで1日待たないといけません.
送信先を指定します.送り先(日本の仮想通貨取引所の入庫先アドレス)を確認します.
入庫先アドレスは複雑な英数字の配列になっており,一文字でも間違えると送金したBitcoinは半永久的に失われます.入力は慎重にしたいところですが,入力作業で作業で間違える可能性があります.
ポイント
おすすめはQRコードによる送信先の指定です.送信先の仮想通貨通過取引所の口座QRコードをもらい,送信先のQRコードを手元の画面で読み取ります.
送金側の口座画面でQRコードのアイコンを押すとカメラが起動して,送金先のQRコードを読み取ることができます.QRコードを利用するこの方法であれば,送信先のアドレスを間違える心配はありません.
step
4海外の仮想通貨取引所から日本の仮想通貨取引所へとBitcoinを転送
海外現地の仮想通貨取引所の送金画面で,送金するBitcoinの金額を入力します.
送金する通貨はBitcoinになりますが,総金額の指定は現地通貨でも選択が可能です.現地通貨を選択して送金額を指定した場合,送金するときに自動的にBitcoinに変換されます.
送信ボタンを押した後は,2段階認証プロセスを通して登録してある現地電話番号にSMSが送られてきて送金の認証をします.
step
5日本の仮想通貨取引所でBitcoinを日本円に変換
ポイント
海外の仮想通貨取引所から日本の仮想通貨取引所に送金をしてから1時間後に送金したBitcoinnの入庫が確認できました.
海外の仮想通貨取引所から試しに送信した「BTC 0.00025(日本円 1,146円)」が入庫されたことが確認できました.
step
6日本の仮想通貨取引所でBitcoinを日本円に変換
日本の仮想通貨取引所で,入庫されたBitcoinを日本円に変換します.
ポイント
Bitcoinを購入するための取引手数料自体は無料であることが多いのですが,Bitcoinと日本円の為替に0.5%程度の隠れた手数料が発生します.
step
7日本の仮想通貨取引所から日本の銀行に振り込み
日本の仮想通貨取引口座にある日本円を日本の銀行口座に振り込みます.
日本の仮想通貨取引所から日本の銀行への振り込み手数料がかかります.取引所と振込金額により銀行への振り込み手数料は変わりますが,ある取引所では振り込み手数料が770円かかります.
ポイント
仮想通貨取引所間の送金に1時間ほど時間がかかるので,全体で1時間30分かからないでBitcoinによる海外送金が完了しました.他の海外送金に比べると,かかる時間は短く休日でも行うことができます.
まとめ:Bitcoinを利用した海外送金は中上級者向け
Bitcoinを経由した海外送金の方法について解説をしました.
簡単な流れ
- 海外の銀行から同国内の仮想通貨取引所に振り込み
- 海外の仮想通貨取引所で海外現地通貨をBitcoinに変換
- 海外の仮想通貨取引所から日本の仮想通貨取引所へとBitcoinを転送
- 日本の仮想通貨取引所でBitcoinを日本円に変換
- 日本の仮想通貨取引所から日本の銀行に振り込み
仮想通貨(暗号資産)を利用した海外送金に必要な口座は無料で開設できることが多いです.
必要なモノ
- 海外の銀行口座
- 海外の仮想通貨取引所口座
- 日本の銀行口座
- 日本の仮想通貨取引所口座
Bitcoinを利用した海外送金は手数料については必ずしも安くはありませんが,取引にかかる時間が1時間半ほどで,休日でも手軽に行えるところが特徴です.
自分でBitcoinの取引を行わなくてはいけない点が難関です.Bitcoinの価格変動が激しいですので,予期せぬ「為替損(益)」が発生する場合があります.
仮想通貨取引所でのBitcoin取引を行わなくてはいけませんので,Bitcoin経由の海外送金は中上級者向けです.
仮想通貨取引を頻繁に行われている方は,税理士にも利用されている仮想通貨の損益計算サービス「Cryptact(クリプタクト)」の利用をご検討してみてください,
仮想通貨取引の損益を素早く計算して,確定申告のサポートをしてくれる便利なサービスになります.
ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.仮想通貨に関する記事もあわせてご覧ください.
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