マレーシア 都市封鎖 FMCO 2021 外出 MySejahtera

マレーシア一般

マレーシアのロックダウン(都市封鎖)中の行動変化,60%外出削減あったみたい

2021年8月28日

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2021年8月,日本でもロックダウン(都市封鎖)を求める世論がありますが,実際にロックダウンが行われたMalaysiaではどれくらい人流が減ったのですか?

 

こにゃん
こんにちは,こにゃん(@こにゃん)です.

2021年5月中旬に実施された都市封鎖では,Malaysiaにおける人出は3分の1まで減っています.

 

私はMalaysiaの首都Kuala Lumpurで駐在員をしています.

 

感染症対策として実施されたMalaysiaでの都市封鎖(MCO)を経験して,生活面,仕事面ともに大きな苦労をしています.

 

こにゃん
行動制限令は数週間の間,人出を抑える役割しかなく感染症対策としての効果が少ないです.

そして都市封鎖中の経済活動停止による損失はあまりに大きいです.

 

Malaysiaの都市封鎖

malaysia lockdown mid valley

 

Malaysiaでは都市封鎖MCO(Movement Control Order)が2021年に入り複数回発令されています.

 

MCO 2.0 MCO 3.0
期間 2021年1月13日-2月18日 2021年5月12日-5月31日(以降も実質的な都市封鎖継続)
外食 × ×(8月20日以降,ワクチン接種者のみ可能)
小売店 ×
移動制限 州を越える移動禁止 州を越える移動禁止
経済活動 ×(必須産業のみ)
経済損失 RM 3億(日本円 78億円)/日 RM 10億(日本円 260億円)/日

 

日本の緊急事態宣言に比べると,MCOは大幅に活動を制限されることになり,MCO期間中は外食が一切禁止になり,自宅に閉じこもる生活となります.

 

都市封鎖による経済損失は非常に大きいです.経済活動を全国規模で停止させたMCO 3.0期間中,約1ヶ月でGDP 2%相当が失われたことになります.

 

こにゃん
日本でも都市封鎖を待ち望む声があるようですが,日本で都市封鎖が行われると多くの人が精神的に疲弊して自殺者が増えることが容易に予想できます.

 

都市封鎖中のどのように国民の行動データを取るか?

 

「Malaysiaにおける人々の行動データ」を参照した先は,「MySejahteraで登録された個人・位置情報」です.

 

MySejahteraは,Malaysia国内では感染症追跡として個人・位置情報の登録が義務となっており,信用できるデータといえます.

 

本記事のデータは下記のGitHubデータを参照しました.貴重なデータの提供に感謝します.

 

 

「MySejahtera」とは?

MySejahteraは,Malaysia政府(国家安全委員会,保健省など複数省合同)が武漢肺炎の感染状況を把握して,感染者の接触者を追跡するために開発されたアプリです.

 

MySejahtera

MySejahtera

GOVERNMENT OF MALAYSIA無料posted withアプリーチ

 

2020年4月に公開されて1年間は主に感染症追跡を目的として利用されていましたが,ワクチンの供給が始まると同時に機能が追加されました.

 

  • ワクチンの予約
  • ワクチン接種記録(いわゆるワクチン・パスポート)

 

Malaysiaで生活する上ではなくてはならないアプリ.

 

日本では個人情報の観点からワクチン接種記録および行動記録をするアプリは普及していませんが,MySejahteraは一つのアプリ内で感染症関連の情報が完結しており便利です.

 

こにゃん
私は「マイ・セジャフトラ」と読んでいます.

地元の人もそう発音しているように聞き取れるのですが,正式な読み方がわかりません.

 

入店するときはMySejahteraで登録

mysejahtera qr code mid valley

 

レストラン,スーパー,会社,駅,タクシー,学校,公園など,あらゆる場所にMySejahtera用のQRコードが貼られています.

 

Malaysiaに住んでいる人は,店・場所に立ち入る前に,MySejahteraを立ち上げて入り口前のQRコードをスキャンして個人情報を登録します.

 

入店時登録手順

  1. MySejahteraを起動して,profileのstatusを表示.”Low Risk”と表示されている人のみ許可.
  2. 体温測定,体温が37.5度未満の人は許可.
  3. MySejahteraでお店のQRコードをスキャンして入店.

 

登録した個人情報と位置情報が結びついて,政府中央担当部局で情報が蓄積されます.

 

ひとたび陽性者が確認されると,陽性者が訪れた場所・店のMySejahtera登録情報が検索されて,同じ場所を訪れた人に感染症追跡調査が行われます.

 

ポイント

入店時にMySejahteraでの個人・位置情報の登録が義務付けられています.入場する時のみ登録が必要で,退場するときは必要ありません.

 

登録をしないと罰金RM 1,000(2万6千円)

 

私が日本に帰国した2020年の時は,日本政府の感染症追跡アプリ「Cocoa」はダウンロードが義務ではなく,しかも入店時の登録も必須ではありませんでした.

 

しかし,Malaysiaにおいては入店時のMySejahteraによる個人情報登録は義務です.

 

スマホを所有していない場合は,お店が提供する記帳に個人情報を書くことで入店を許されます.電波が届く限りにおいては原則スマホによるMySejahteraを利用した入店記録が義務付けられています.

 

MySejahteraで登録を忘れた場合は,最大罰金RM 10,000(日本円 26万円)を支払わなくてはなりません!

 

一回目の登録忘れ違反者に対しては罰金は最高金額ではなく,RM 1,000(日本円 2万6千円)が課せられます.Malaysia人の都市部でも2週間分ほどの給料に相当します.

 

こにゃん
MySejahteraの統計データは国民が協力して日々の生活で行動記録をしているので,十分に参考になるデータです.

本記事ではMySejahteraから吸い上げられたデータを元に,都市封鎖中の国民行動をみてみます.

 

都市封鎖は確実に人出を抑えている

publika

 

都市封鎖の目的は「人出を抑えて,感染症の拡大の速度を緩める」ことです.

 

”人出”とは抽象的な言葉ですが,単純にいえば「外出する人×訪問する場所の総和」です.

 

MySejahteraは正に人出を数えていますので,MySejahteraに登録されている数を縦軸にとって都市封鎖の効果を見てみます.

 

MySejahtera行動分析 MySejahetra

 

全面的な都市封鎖で約60%まで人出を抑制

グラフを見ると,行動制限令とMySejahteraの訪問登録数が関連していることが読み取れます.

 

  • MCO 2.0の発令前後で,最大32%のMySejahtera登録個人数減少
  • MCO 3.0の発令前後で,最大57%のMySejahtera登録個人数減少

 

私の実感でも普段のスーパーの買い物客は半分くらいに減っています.

 

買い物客は減りましたが,スーパーでは必ずと言っていいほど,緑色の制服を着たスーパー買い物代行者の姿を見ます.様々な理由で自宅から外出をしない人に向けたサービスが普及しています.

 

こにゃん
厳格な行動制限を伴った都市封鎖を行うことで人出の抑制には成功していることがデータからも実証されました.

 

都市封鎖から陽性者数の鈍化までに3週間

MySejahtera登録数と感染拡大状況の相関があるか見るか興味があったので,次のグラフを用意しました.

 

  • 横軸:日付
  • 縦軸(左軸):MySejahtera登録数
  • 縦軸(右軸):陽性者数

 

MySejahtera行動分析 MySejahtera 陽性者数

 

感染症と人の行動に相関は解明しづらく,感染症は都市封鎖などの行動制限に対して即時的な効果は出にくいです.

 

都市封鎖令を発令した2-3週間後には,陽性者の増加が減少に転じているようにみえます.

 

こにゃん
陽性者が増加から減少に転じたことが果たして,行動制限令により人出が減って人同士の接触が減ったからと単純に結論をして良いのかは分かりません.

 

MCO 3.0の後も継続的に行動制限は続けていますが,感染症はむしろ拡大をする一途を辿っています.

 

都市封鎖をしたとしても次の感染症の流行を抑えることはできず,行動抑制はあくまで「時間稼ぎ」と考えた方が良さそうです.

 

こにゃん
2020年,武漢肺炎が流行している初期においては「都市封鎖とともに感染症を抑え込んだ成功」がありました.

2021年,変異種に対して過去の成功にすがったMalaysia政府ですが,変異種の前には都市封鎖は効き目が薄いことは明白です.

 

2021年8月,都市封鎖が続くも徐々に人出が回復

KLCC

 

MCO 2.0が解除された後もMalaysiaでは継続して行動制限が続いていますが,MySejahteraの登録数は徐々に2020年年末の水準まで戻っています.

 

MySejahteraが上昇している考えられる理由としては,

 

  • 制限されていた経済分野の活動許可(製造業,鉄工業など)
  • ワクチン接種後に積極的に外出する行動変化
  • ワクチン接種者に対する行動緩和
  • MySejahtera QRコードの発行数の増加

 

都市封鎖中も国民の25%は外出

 

人出が約60%減ったことは分かりましたが,実際に外出する人数はどれくらい減ったのですか?

 

こにゃん
外出する人はおおよそ44%減っています.

外出人数が人出の減少幅よりは少ないことは,外出する人よりもむしろ訪れるお店の数が減ったことを示唆しさしています.

 

次に,都市封鎖中にどれだけの国民が外出していたか人数を見るために,次のグラフを用意しました.

 

  • 横軸:日付
  • 縦軸:MySejahteraに訪問登録した個人数(重複除く,1週間移動平均)

 

MySejahtera行動分析 訪問登録をした個人数

 

都市封鎖と都市封鎖の間には,国民が普段の生活を取り戻そうとするバネのような力強い弾性を見て取れます.

 

特に,MCO 3.0が終わった2021年5月下旬以降,外出する人数は増加傾向をたどっています.レストランでの外食,国内の移動が許されていた2020年年末の水準まで外出人数は回復してきています.

 

こにゃん
ワクチン接種が進捗したことによる接種者の行動変化,政府の経済活動制限緩和などが影響していそうです.

 

都市封鎖で40%以上は外出する人を削減

bukit bintang

 

MCO(行動制限令,Movement Control Order)と呼ばれる,外食を禁止して,州を超えた移動の制限が発令された時の人数の変化は次のとおりです.

 

  • MCO 2.0の発令前後で,最大約20%のMySejahtera登録個人数減少
  • MCO 3.0の発令前後で,最大約44%のMySejahtera登録個人数減少

 

都市封鎖が発令されたとしても,日々の食料を買いに行かなくてはなりませんので外出する人が0になることはあり得ません.

 

外出は人としての営みを行うために必須であり,行動制限が課せられたとしても外出はしなければならないので,外出人数は弾性力を持った数字です.

 

MCO 2.0のときは経済活動が許されて会社への出勤ができましたが,MCO 3.0になると企業活動への大幅な制限が課せられ,私生活では髪の毛を切りに理髪店へ行くことすらできなくました.

 

ポイント

MCO2.0に比べてMCO 3.0の直後で大きく外出する人数が減っている理由は,”不必要な”出勤や私生活の行動を制限したことが背景にあると考えられます.

 

都市封鎖中でも国民の25%は外出

masjid jamek 交差点

 

行動制限令の前後で,MySejahteraに登録されている個人数は前後するものの,1日あたり概ね750万人がMySejahteraで入店記録を1回以上しています.

 

ポイント

MySejahteraを利用して外出を登録している人数750万人は,Malaysia人口のおおよそ25%に相当.

 

実際に外出している人口は,上記の数字よりも多いです.

 

スマホを持っていない,忘れてしまった人はMySejahteraへの登録ができないので統計データから漏れてしまっています.

 

人口25%が日々外出しているということは,感覚としては次になります.

 

  • 単身生活者ならば4日に1日外出
  • 4人家族ならば,家族のうち1人のみが毎日外出

 

私の日常生活を見わたしても人口の25%しか外出していないという結果に違和感があったので,もう少し数字を分解してみました.

 

公務員の都市Putrajayaは100%のMySejahtera登録率

都市別にどれだけの人口がMySejahteraを用いた行動履歴調査に協力をしているかデータをまとめました.

 

結果は次の表です.

 

人口あたりの登録率上位 人口あたりの登録率下位
第1位 Putrajaya 100% Kelantan 8%
第2位 Kuala Lumpur 89% Sabah 12%
第3位 Perlis 43% Terengganu 13%

 

Putrajaya 100%

putrajaya

 

予想通りですが,Putrajayaでは住民の100%が日々MySejahteraによる訪問記録をしています.

 

Putrajayaは,行政の中心地区として開発された都市です.日本でいうところの霞ヶ関に近い位置付けです.

 

人口の大部分が公務員の都市ということもあり日々決められた規範に従って通勤を行い,100%のMySejahtera登録を遵守しています.

 

Kuala Lumpur 89%

mid valley louis vuitton

 

人口あたりの第2位のKualal Lumpurは,意外に登録率が89%と高いことに驚きました.

 

ポイント

スマホを持っていない人口を除くと,Kuala Lumpur住民のほぼ100%が日々MySejahteraで外出を記録していることになります.

 

注意点としては,首都Kuala Lumpurへの周辺州からの人の流入(通勤・通学)があります.

 

例えばSelangor州からKuala Lumpurに出勤してきた人がKuala LumpurでMySejahteraを登録していることで結果的にKuala Lumpurの登録数が相対的に上がっているのだと推測します.

 

こにゃん
私はKuala Lumpurで一人暮らしをしていますが,1週間に5日は外出しています.在宅勤務が増えたとはいえ,散歩に行ったり,スーパーで買い物をするために外出しています.

「都市封鎖=外出禁止」というわけではありません.

 

都市封鎖中に訪問数は減少した?

 

都市封鎖中に,MySejahteraを用いて一人でも訪問を登録した場所を日付ごとにグラフにしました.

 

  • 横軸:日付
  • 縦軸:MySejahteraに訪問履歴のある場所数(重複除く,1週間移動平均)

 

MySejahtera 訪問履歴のある場所数

工場閉鎖は行動制限に大きく影響

MySejaheteraを用いて一人でも訪問登録をした場所の数の推移を見ていると,MCO 2.0とMCO 3.0の違いがはっきり出てきます.

 

  • MCO 2.0の発令前後で,最大約12%の訪問場所数減少
  • MCO 3.0の発令前後で,最大約30%の訪問場所数減少

 

MCO 2.0は都市封鎖といえど,制限したのは私生活ばかりで,工場での稼働を止めずに経済活動についての制限は少なかったことが特徴です.

 

結果として,MCO 2.0が発令された直後でも訪問登録場所の減少幅は少なかったです.

 

MCO 2.0では外出する人は抑えられたけれど,外出する人は相変わらず同じように出勤をしたり,買い物に出かけていたことがグラフから分かります.

 

MCO 3.0は,大規模に経済活動を止める都市封鎖となっており,一気に人々が訪れる場所が減っています.

 

皮肉なことは,MCO 2.0が解除された直後は緩やかに陽性者数は減少を継続しましたが,MCO 3.0の場合はむしろ陽性者数が増えてしまったことです.

 

こにゃん
疫病はさまざまな要素があり,一概に厳しい都市封鎖をしても感染症を抑え込めません.

 

まとめ:ロックダウンで約60%の人出削減,感染抑制効果は限定的

 

Malaysiaで実施されたロックダウン(都市封鎖)により人出がどれだけ削減されたかをまとめました,

 

ポイント

Malayisa国内で実施された厳格な都市封鎖により

  • 人出は最大57%減少
  • 外出する人数は最大44%減少
  • 訪問場所数は最大30%減少

 

経済活動,私生活を大きく制限した都市封鎖を実施したことによる当然の結果といえます.一方で,感染症の拡大抑止に対する効果は限定的です.

 

むしろ,MCO 3.0が解除された後は継続的に感染状況は悪化をしています.

 

疫病はさまざまな要素があり,一概に厳しい都市封鎖をしても感染症を抑え込めません.

 

 

こにゃん
Malaysiaに住む一人として早く自由に外で友だちと会って食事をしたり,自由に旅行ができるように制限令が見直されて欲しいです.行動制限が緩和された時に,外出行動をするかどうかは個人の自由(責任)という考え移行していくことが望ましいです.

 

ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.

 

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こにゃん
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  • この記事を書いた人

こにゃん

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