マレーシア ICU病床 逼迫 コロナ Covid 首都圏 病床使用率

マレーシア一般

マレーシアのコロナICU使用率100%,首都圏は病床に空きが出てきた⁉︎

2021年8月31日

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東南Asiaでは武漢肺炎の変異種が大流行していて,Malaysiaでは感染症対策のために都市封鎖まで行われたと聞きました.

Malaysiaでは死亡者数も増えているようですが,医療体制は逼迫しているのですか?

 

こにゃん
こんにちは,こにゃん(@こにゃん)です.

2021年5月末以降,Malaysia全国のCovid-19専用ICU病床の使用率は100%に近い状況となり,救う命を選別しなくてはいけない場面が発生していました.

 

Malaysiaでは2020年の武漢肺炎に関しては感染拡大に成功をしましたが,2021年5月になると武漢肺炎の変異種の登場により感染症の真の恐怖を知ることになります

 

私はMalaysiaで仕事をしています.普段から現地の最新情報を得るために,地元の報道や在マレーシア日本国大使館の情報を受信していると,医療体制が異変をきたしていることは明白でした.

 

本記事を書いている2021年8月時点,感染症の暗黒期は脱出しつつあるように肌感覚では感じるようになりました.

 

Malaysia保健省が公開しているデータをもとに,2021年にMalaysiaの医療体制に起きていたことを振り返りたいと思います.

 

東南アジアで最悪の死者数(2021年8月時点)

マレーシア 葬儀 墓場

 

Malaysiaは2021年8月時点で東南Asia諸国で新規陽性者,新規死亡者数で「最悪」を記録しています.

 

次のグラフは,東南Asia諸国の各国人口あたりの新規死亡者数に関するグラフです.

 

 

なぜMalaysiaの感染状況は”最悪”なのか?

 

同じ東南Asia諸国の中でなぜMalaysiaの感染状況はこれまで悪いのでしょうか?

 

こにゃん
正直にいって,2020年の感染症初期からずっとMalaysiaに住んでいますが,Malaysiaの感染症対策で他国に比べて決定的に悪い点が思いつきません.

 

Malaysia国内での感染症拡大と死亡者数増加に関して,考えられる点を挙げると次の4点です.

 

  • 外国人労働者の劣悪な職住環境(集団感染が何度も起きている)
  • 宗教関連施設での大規模集会(地域社会への病原菌拡大)
  • 不健康な生活習慣(糖分の多い食事と運動不足により肥満の人が多く,感染した時に重症化しやすい)
  • 医療病床の逼迫(感染症が重症化したときに,適切な医療が与えられない)

investvine: Malaysians Are Southeast Asia’s Fattest, But Vietnam Is Catching Up Fast

 

Malaysiaにおける感染状況の悪化について「ワクチン接種の遅れ」の要因も考えましたが,他の東南アジア諸国に比べてもMalaysiaのワクチン接種の進捗は早いです.

 

 

各国人口あたりの新型肺炎による死亡件数について,Malaysiaの圧倒的に多いことの説明がワクチン接種の進捗ではできません.

 

他国との比較分析をしたいのですが,本記事ではMalaysia国内の「医療病床の逼迫」を中心に書きます.

 

医療病床数の参照データ

 

本記事のデータは保健省のGitHubデータを参照しました.貴重なデータの提供に感謝します.

 

 

本記事のデータは8月末時点のもので,グラフは1週間移動平均線を用いて作成しています.

 

メモ

記事内で「ICU病床」「ICU患者」「死亡者」という単語を用いたときは,新型肺炎に関連するICU病床,ICU患者および死亡者を表しているものとします.

 

Malaysia国内のICU病床,2021年の逼迫状況

病院

 

Malaysia全国における「Covid-19専用ICU病床数」と「受け入れ患者数」の推移をグラフにまとめました.

 

マレーシア 国内 ICU病床 患者 逼迫 使用率

 

グラフから読み取れることは次の点です.

 

ポイント

  • 新型肺炎患者用のICU病床は5月末以降,100%に近い使用率
  • ICU病床の逼迫状況は6月頭から8月中旬まで継続
  • 8月中旬以降,ICU患者数が減少して病床に空きが出てきた

 

病床使用率100%はギリギリではない?

私が新型関連の「ICU病床数」と「患者数」の推移を見ていて感じたことは,「5月以降,新型肺炎専用のICU病床を増床しており,ギリギリ患者を受け入れている」ということです.

 

こにゃん
冷静になって考えると5月末以降,「ICU病床数=患者数」という均衡状態が2ヶ月続くことが偶然でしょうか?

 

気づかれた読者の方もいらっしゃると思うのですが,私は実際には

ICU病床数≦ICU待機者数

という現実が起きていたと考えました.

 

グラフが示す「ICU病床数=患者数」という状況の背後には,ICUによる治療が必要な人が治療を受けられなかった過酷な現実を物語っているのではないでしょうか.

 

偶然,「ICU病床数=患者数」という均衡が続いていたという可能性はありますが,ICU患者になれなかった人たちが統計データの背後にいたことを予想します.

 

ICU病床数の増床

Malaysia保健省が新型肺炎患者受け入れのためのICU病床を増やしていることは,上のグラフ(青い折れ線)からも読み取れます.

 

ICU病床の設置自体は単にベッドを用意するだけでなく,病原菌を除去するための特別な換気設備を用意するなど徹底した設備が必要なるため一朝一夕で増やせるものではありません.

 

Selangor州では,軍事攻撃を受けた際の避難所の駐車場を利用して,緊急で新型肺炎受け入れたのためのICU病床を50床増やしています.

 

 

こにゃん
避難シェルターを活用してICU病床を増床して,救える命を救おうとする医療関係者の工夫を感じます.

 

ICU病床逼迫と死亡者数の増加

次に,武漢肺炎関連の死者数もグラフに追加してみます.

 

マレーシア 国内 ICU病床 患者 逼迫 使用率 死亡者数

 

2021年5月以降,ICU患者数の増加と比例するように死亡者数も増加しています.

 

ICU患者数の増加速度よりも加速度が大きく,死亡者数が「急増」しているのは,ICU病床が逼迫し始めた後の6月以降です.

 

ICU治療を受ければ助かるはずだった人たちが,病床の逼迫により生み出されたことが背景にあると推測します.

 

ポイント

医療機関はICU病床を増床させていますが,病床数の増加速度以上に新型肺炎の感染が悪化.結果として,重症化患者が急増してしまった.

 

Malaysia首都圏のICU病床使用率 100%から緩和傾向

 

Malaysiaの首都圏に限定して,新型肺炎のICU病床と患者数の推移についてみてみます.

 

Malaysiaの首都圏はKlang Valleyとも呼ばれ,通常次の3つの連邦直轄領,州から構成されます.

 

  • Kuala Lumpur連邦直轄領
  • Selangor州
  • Putrajaya連邦直轄領

 

首都圏では,全国よりも3週間早く病床逼迫

首都圏に限ってデータをながめると,首都圏の医療体制が逼迫を始めたのは2021年Hari Rayaが始まる直前5月初旬ごろであることがわかります.

 

全国でICU病床が逼迫する3週間ほど前にはすでに首都圏ではICU病床が逼迫し始めていました.

 

マレーシア首都圏 Klang Valley Kuala Lumpur Selangor Putrajaya 国内 ICU病床 患者 逼迫 使用率 死亡者数

 

Kuala Lumpur在住者として背筋が寒くなることは,5月中旬から8月中旬までの3ヶ月の期間にわたり

ICU病床数<患者数

という”医療崩壊”の状況が続いていたことです.

 

1日の間に複数の患者がICU病床を共用していたという信じがたい状況をデータは物語っています.

 

実際は統計データには登録されていない,臨時のICU病床を用意して対応をしていたのだと思います.

 

首都圏で救急車を呼んでも搬送されない現実

Selangor州で自宅療養中の人が重症化して救急車を読んでも,救急車が迎えにこれず,受け入れ病院を探すのに半日以上時間がかかった話も聞いています.

 

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救急車を呼んでも搬送されない話を裏付けるように,首都圏のICU病床使用率のデータからも悲惨な医療逼迫状態が浮かび上がってきます.

 

首都圏では2021年8月以降の死亡者数激減

8月中旬以降,Malaysia首都圏では患者数が減ったことで,ようやく「ICU病床数>患者数」という状態になりました.

 

全国ではワクチン完了者数が人口の60%にも満たしませんが,首都圏では90%がワクチン完了していることもあり,ワクチン接種による重症化予防効果がICU患者数の減少傾向にあわられているのだと思います.

 

死亡者数についても2021年8月中旬から急減少しています.

 

マレーシア首都圏 Klang Valley Kuala Lumpur Selangor Putrajaya 国内 ICU病床 患者 逼迫 使用率 死亡者数

 

こにゃん
首都圏における死亡者の激減は,ワクチン接種の効果により重症化および死亡を予防していることが主要因だとみられます.

 

同時にICU患者数が減ったことで医療体制に余裕が出て救える命を救えるようになってきていることも寄与しています.

 

ICU病床に余裕の出てきた首都圏

2021年中旬以降,ICU患者数の減少により首都圏のICU病床に少しずつ余裕が出てきています.

 

州・直轄領 ICU病床使用率 ICU病床数 ICU患者数
Kuala Lumpur 85% 228 194
Selangor 94% 350 330
Putrajaya 85% 20 6

 

こにゃん
首都圏におけるICU患者数は減少傾向を示していますので,医療受け入れ態勢は徐々に回復していくと思いますが,まだICU病床使用率は90%前後と高い水準にありますので警戒が必要です.

 

州別のICU病床逼迫状況

最後に,Malaysia国内の州・直轄領ごとにICU病床が余裕(使用率低い),逼迫(使用率高い)の順位をまとめました.

 

ICU病床数,ICU患者数は2021年8月22日から8月28日までの1週間平均値です.

 

ICU病床に余裕のある州 Top3

 

ICU病床の余裕度 州・直轄領 ICU病床使用率 ICU病床数 ICU患者数
第1位 Labuan 0% 18 0
第2位 Negeri Sembilan 40% 88 35
第3位 Sarawak 63% 120 76

 

ICU病床が逼迫している州 Top3

 

ICU病床の逼迫度 州・直轄領 ICU病床使用率 ICU病床数 ICU患者数
第1位 Kelantan 123% 64 79
第2位 Sabah 116% 145 168
第3位 Kedah 114% 105 120

 

 

まとめ:MalaysiaのICU病床使用率の山は超えたけど,引き続き警戒必要

 

Malaysia国内における,新型肺炎専用のICU病床逼迫状況についてまとめました.

 

ポイント

  • 新型肺炎患者用のICU病床は5月末以降,100%に近い使用率
  • ICU病床の逼迫状況は6月頭から8月中旬まで継続
  • 8月中旬以降,ICU患者数が減少して病床に空きが出てきた

 

ワクチン接種が進むことで重症患者が減少してきてはいますが,2021年8月末時点でもICU病床使用率は90%を超えていますので,医療体制については引き続き緊張感が続いています.

 

Malaysia在住の方は,衛生管理を行い感染対策を再度徹底してください.

 

家にこもっていると精神にも身体にもよくないので,周りに人がいない公園で適宜運動をして免疫力を保つこともお忘れずに!

 

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ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.

 

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こにゃん
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