2020年10月になる前に,私自身がPCR検査を受けてきました.
「まさか自分は?!」と不安と緊張で一杯.
指定された地元の病院で検査を受けたPCR体験談をまとめます.
Malaysia在住の方にとって参考になれば幸いです.
気づかぬうちに陽性者の2次接触者に?
ある日,上司からteam全員がこっそり呼び出されました.
嫌な予感はしていましたが,上司がみんなの前で開口一番言いました.
上司
みんな,PCR検査を受けてくれ!
朝出勤すると,上司たちが人事と何やら相談しているのを横目で見ていたので,何か緊急事態が起きていることは分かっていました.
2020年10月時点では,国内での新規陽性者が1日1,000人以下でした.
人口あたりで換算をすると,1日あたり3万人に1人が陽性反応が出るかどうかという状況ですので陽性者は珍しいという印象です.
陽性者が珍しい状況だからこそ,1人でも身近で陽性反応が出ると大騒ぎする空気がありました.
不安でいっぱいの初PCR検査
私たちの同僚の知り合いが,PCR検査で陽性判定がでたとのことです.
同僚が1次接触者.その同僚と接触した私は2次接触者.
そういえば最近鼻水が出るな.
その同僚が陽性判定かどうかは分かりません.
そういえば,その同僚は数日会社に来ていないませんでした.実際はPCR検査を先に受けて,自宅待機をしていました.
上司
見知らぬいうちに2次接触者となり,私は人生初のPCR検査を受診することになってしまいました.
上司から呼び出されたその日は,午前中で仕事道具を片付けて帰宅して,午後から在宅勤務となりました.
明日,会社が指定する病院に行ってPCR検査を受けてくれ.検査の登録は,朝早くから始まる.
帰宅した午後は,不安で一杯になり,仕事に集中することができませんでした.
InternetでPCR検査の情報を集めますが,不安になる情報ばかりで気が滅入ってきます.
日本にいる家族には,PCR検査を翌日受診することを伝えました.
万が一のことが頭をよぎり,感情的になってしまいました.
会社からの指示ではPCR検査前の時点では,食事の買い出しや,外食はできるとのことでした.
もしも自分が感染者であった場合のことが心配になり,外出は控えて当日のお昼ご飯と夜ご飯は冷蔵庫にあった食材で家で簡単に済ませました.
Swab testが一般的な呼び方
ポイント
Malaysia国内ではPCR検査を,”swab test”と呼びます.
”swab”とは,英語で”綿棒”.
読んで字のごとく,「綿棒による検査」です.
PCR検査を受ける必要がなかった?
PCR検査を翌日に控えたその日の夜,綿棒を鼻に突っ込まれる姿を想像しては悶えていました…
深夜に上司からteamのgroup chatに連絡があります.
上司
良いnewsだ!(知り合いが陽性だった)同僚のPCR検査は陰性だった.
次の瞬間,私の頭に一つの素朴な疑問がよぎります.同じことを考えた別の同僚が,すぐに返信を書きました.
明日のPCR検査は中止ですよね?
そもそも,濃厚接触者を対象に,PCR検査で陽性者を見つけるのが目的です.
2次接触者でないことがわかった私たちはPCR検査の対象ではなくなったはずです.
ところが,上司は「PCR検査を翌日予定通り受けてほしい」と言ってきました.
納得ができませんでした.
理由を考えてみましたが,病院に名簿を提出してPCR検査の枠を予約しているから,今さら予約変更できないのかと推測しました.
人生初のPCR検査はMalaysiaの地方病院
検体採取までに長い待ち時間
朝起きて,不安と緊張で胸が張りきれそうになります.
私の場合,職場での接触が疑われたので,会社がPCR検査を予約してくれました.
会社が指定した病院へ車で向かいます.外国籍の場合,検査の際に身分証明書としてPassportが必要になります.
病院内で検査するのかと思っていましたが,屋外に設置された紫色のテント内で綿棒による検体採取を行うようです.
8:30ごろに病院に到着すると,すでに同僚の何人かは番号札をとって待っていました.
私が受け取った番号札は,「50」でした.
綿棒による検体採取が開始したのは,9:30.
青色の防護服を全身に来た医療従事者の方が,一人一人椅子に座らせて検体採取を行います.
1人当たりの検体採取時間を,計測してみました.
1人の人がテントに入って,次の人がテントに入るまでに4-5分経過しています.
- 1分間で検体採取
- 検体採取後3分かけて消毒,次の人を呼ぶ
検体採取自体は,時間があまりかかっていません.
検体採取所での2次感染を防ぐための消毒作業で多くの時間を使っている印象です.
特に,空調のない屋外で全身防護服を着て,1日数時間も検体採取をされる関係者の方の苦労は想像を超えています.
9:30に検体採取が回収しましたが,作業を行なっているのは一つのテントだけです.
1人中の検体採取時間を5分とすると,私の順番になるまで250分(=50番目*5分).
頭の中でさっと計算して,4時間待ちとなることが分かり意気消沈します.
一度,家に帰ろうか迷います.
病院の方に,検査の順番になったら(電話,mailで)お知らせする機能はあるか尋ねると,
「電話,mailでお知らせはしない.順番になるまで車の中で待っていてほしい.待合所は30人までしかいられない.」
と淡々と言われます.
私の番号「50」より番号が早い,待ち番号「46」の同僚にお願いしました.
「あなたの番号になったら,WhatsAppで連絡くれる?」
一度家に帰るのも億劫になってきたので,車の中で一人待機しました.
ついに私の番に…
11:30ごろになると,番号「46」の同僚からSNSで連絡がありました.
「もうすぐだから,あなたも来なさい.」
予想よりも2時間くらい早いなと思い,病院の駐車場から,屋外テントに向かいます.
朝は1つのテントでしか綿棒検査をしていませんでしたが,別の場所でも検査を開始して,2つの場所で平行して検査をする体制に変わっていました.
結局,私の番はお昼12:00を過ぎた頃にやってきます.
長い綿棒が私の鼻奥に差し込まれる映像を想像しただけで逃げ出したくなります.
綿棒による検体採取は2段階です.
ポイント
- 1段回目は,口を開けて喉奥の検体採取
- 2段回目は,上を向いて鼻腔を開け,鼻奥の検体採取
1段回目の口の中の綿棒検査は,全然痛くもなく,違和感もありません.
2段回目の鼻の中の検体採取.
マスクを口にかけて,鼻だけ出すように指示されます.おそらく,鼻を刺激されて被験者がくしゃみした際に,病原菌が飛び散らないようにする対策でしょう.
頭蓋骨に届くのではないかという長い綿棒を鼻に差し込まれます.
大人なのに人前で泣いたら恥ずかしい,なんてどうしようもないことを考えていました.
1度目の挿入は,くすぐったくて断念.
2度目の挿入は,鼻の中がくすぐったいのを堪えて,検体採取成功です.
結局想像していたよりは,鼻腔内の検体採取も痛くはありませんでした.
ただし,鼻の中は一時的にムズムズして,少し涙が出ました.
早くPCR検査なしの入国を許可してほしいと願う一方で,国境を開放した際の感染拡大制御に対する有効な答えはないところは,悩ましいです.
注意ポイント
綿棒検査のあった病院では,綿棒検査対象者にはトイレを貸し出していませんでした.
PCR検査結果は4日後,結果は…
PCR検査を受けてから,検査結果が出てくるまで数日かかります.
ポイント
検査を受けても検査結果が出るまでは陽性者を示すwristbandを装着されるわけでもなく,自由に日常生活を行うことができます.
会社からは,検査結果が出るまでは,在宅勤務に切り替える指示が出ました.
Internet上では2日後,3日後という情報もあったのですが,私の場合は,検査から4日後に結果が出てきました.
結果は…
Team全員が,PCR検査は陰性の結果でした.
胸を張って日常生活を行うことができます.
しかしPCR検査は完璧ではなく,偽陽性・検査ごの感染もあるので,引き続きSOPを遵守して感染予防に気を付けていきます
PCR検査費用について
今回,私は会社負担でPCR検査を受けたので実際に発生した費用については把握していません.
個人で綿棒検査(swab test)を受ける場合,RM 250(日本円 約6,300円)かかるようです.
2020年10月20日Malaysia政府発表によると,CMCO対象地域の企業に関しては,加入するSocso(社会保障制度)が従業員のPCR検査費用を負担します.
申請に関しては諸条件があるようなので,詳細は政府情報をご確認ください.
→Malay Mail: Here’s where to get free Covid-19 tests paid by Socso for your workers in CMCO areas
まとめ
人間誰しも,自分は大丈夫だろうという安全biasが働きます.
私は今回,PCR検査陽性者と2次接触をしたことになりしたが,Malaysia国内でのCovid-19感染拡大の勢いを肌身に感じました.
新型肺炎感染は,他人事ではない.すぐ身近で息を潜めています.
PCR検査の検体採取現場に行った気付きですが,
ポイント
- 新型肺炎の症状がなくても,接触者(予備軍)は全て検査対象
- 検査体制は,医療従業員の人数により1日当たりの検査数の上限がある
- 検体採取現場には,外国籍労働者が多く,政府による外国人に対する検査強化が感じられる
- 職場で一人でも陽性者もしくは接触者が発見された時点で,関係者は自宅待機.経済活動への影響が大きい.
SOP(行動順守規定)を私たちの職場では遵守しています.
むしろ,政府の定めているSOPよりも厳格に感染予防対策を実行しています.
他方で,在宅勤務への切り替えというのは,職場での集団感染を防ぐ有効な手段だと私も思います.
現在の政府は,管理職だけを在宅勤務に強制的に移行させています.
もう少し柔軟に,企業ごとに在宅勤務の目標設定を委ねないと,経済活動に影響することを危惧します.